制作プロデューサーインタビュー/後編

お茶目なベニシアさんのおかげで笑顔が絶えない撮影現場。あらためて彼女の魅力を発見。

 

後編では、制作プロデューサーの鈴木ゆかりさんに映画制作の舞台裏ついてお話いただきました。長年にわたり取材を続けてきた鈴木さんならではの、楽しいエピソードが満載です。

 

前編はこちらから。

  

-作品づくりにあたり苦労されたことをお聞かせください。

子どもの思春期や夫婦喧嘩など、家の中でちょっとしたコトが起こっても、撮影スケジュールを変更するわけにはいかず、心苦しかったです。ベニシアさんは、「撮影があったから救われたよ」と言ってくれるのですが。

 

彼女は、実はおっちょこちょい(笑)。料理撮影で、切った食材が笑っちゃうほどつながっています!とか、四角く切るつもりがなぜか三角っぽいとか、バジルをミキサーにかけたら蓋がよく締まってなくて飛び散るとか。しまいには、現場スタッフも笑うしかない、という感じです(笑)。でも、過ぎてしまえば、苦労というよりは楽しかった思い出ですね。

 

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自宅キッチンで料理をするベニシアさん

 

 

 

-楽しそうな撮影現場ですね。ほかに、面白エピソードはありますか。

やっぱり貴族だなぁ・・と思うことはありますね。2〜3年前のイギリスロケのこと。成田での出国手続きでベニシアさんと審査官がなにやら揉めていたのでわけを聞くと、外国人用の在住証明を忘れてきたとのこと。それがないと日本に戻ったとき入国できないよ、と審査官。

 

愕然としました。現地でのスケジュールは完全に決まっていたので、今から京都に取りに帰ることになったら・・と。でも、彼女は「大丈夫やから〜」と、焦る様子もなく、取りに帰る気配もゼロ。結局、後日日本からイギリスに郵送してもらい、なんとかことなきを得ました。

 

手荷物に液体物を入れたらダメと何回説明しても聞きません(笑)。しかも彼女の場合、お手製のコスメ用品なので、さらに怪しまれてしまう。それでも、「なんでダメなんや。私が悪いことするわけないでしょう。大丈夫、私を信じて!私はベニシア・スタンリー・スミスです!」みたいな調子で検査官に主張するのです。生粋のお嬢様なのでしょうね。

 

でも、自分勝手というわけではないのです。荷物は全部自分で持ちますし、自動発券機のような機械化されたシステムを見ると、高齢者に不親切だ!と本気で怒っています。お嬢様の世間知らずさと、ものすごいホスピタリティを併せ持った人だなと思います。

 

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イギリスロケ地の一つ、ダービーシャー州のケドルストンホール。ベニシアさんは幼少期しばしばこの大きなお城で暮らした。現在はナショナルトラストが管理・公開している。

 

  

-最後に、映画を楽しみに待っている方々に向けてメッセージをお願いします。

取材対象者を褒めたたえるのは、制作における私たちの主義とは反するのですが、ベニシアさんは本当に人のことを真剣に考える人だと思います。

 

たとえば、旦那さんが他の女性と仲良くなってしまった、というようなときにも、嫉妬の感情もあるけれど、相手の女性も幸せになるにはどうすればいいかを真面目に考えてしまうような人なのです。映画制作にあたってさまざまな人に取材し、改めて気付かされたことです。

 

彼女が「貴族」なのは、大きな屋敷で育ったからとかではなく、彼女の内面に根付いている精神そのものだと感じています。本当に温かい気持ちをたくさんもらいました。そういう彼女の魅力を、映画で伝えたいと思っています。

  

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ベニシアさん(左)と鈴木ゆかりさん(右)

 

-ありがとうございました。映画制作も佳境になっていることと思いますが、スタッフの皆さま頑張ってください!完成を楽しみにしています!

 

前編:ベニシアさんの人生と映像が、まるで”3D”のような立体感で客席へ迫ってくるような映画にしたい。